はじめに
この記事を最初に書いたのは2000年12月ですが、記事が古くなったために、2013年12月に編集しました。
チャイナドレスのHPの記事や掲示板などでよくチャイナドレスの買い方に失敗したという声を聞くのでどうしてこうこういう事になってしまったのか、原因は何かということを長年の経験をもとに分析したいと思います。
チャイナドレスを欲しいと思っても
個人の好みというのは多様だと思うので、いろいろな観点から説明してみます。
既成品
既成品のチャイナドレスとオーダーメイドではそれぞれ違うメリットがありますのであっている方を選択してください。
既成品のメリット
- 在庫が豊富で返品、交換が簡単なこと。オーダーメイドは特定のお客様用に作るものなので返品は基本的にできないです。既製品もたまに返品不可のところがあります。
- 実店舗の場合、実物が見られる。ネットでは、生地のイメージ違いというのは頻繁にあります。(当店では希望者に先にサンプル送付というサービスをしてます。)
- 大量生産(もしくは大量仕入れ)、大量輸送により、大幅にコストが安いために、値段が格安なこと。
既成品のデメリット
- ファスナーやスナップなどに安物を使っているので、すぐ壊れてしまう。
- スリットの高さや着丈などを含めサイズを直す必要がある場合には、すごく高い買い物になってしまうこと。
- 各サイズを揃えるので生地や形はあまり種類がありません。
- 既成品は着丈が決まっているので身長が155cmから165cmの間の方に向いています。
- 日本国内では、既成品のチャイナドレスはコスプレが主流です。例えば世界的チェーン店の上海灘みたいなお店を除き、ほぼ安物しかありません。
- 日本向けでないドレスは、既成品のウエストは一般に太く作ってあります。どこで直してもらうかなどを検討してから購入された方がいいかもしれません。
オーダーメイド
オーダーメイドのメリット
- 大体ピッタリに合わせられること。ネット上の物はあくまでイージーオーダーなので肩の形や背中のラインなどはすべてピッタリにいかないこともあります。
2000年当時は日本にも数軒あったのですが、現在は非常に少ないです。
- 生地やデザインを自由に選べること。既製品のチャイナの種類というのは1店あたり20種類ぐらいだと思いますが、オーダーは組み合わせができるので、数万種類の組み合わせが可能です。当たり前のことですが、既成品の場合には、生地は数種類しか選ぶことができませんし、デザインもありきたりのものしかなくて、がっかりさせられることが多いです。
オーダーメイドのデメリット
- 値段が高い。オーダーメイドの相場ですが、日本で6万円。香港で5万円、中国で2万円というのが大体の相場です。既成品に比べて、もともと少量販売を目的にしているので、薄利多売ということではなく、1着1着指定が違うものなので、いくら売れてもそんなに生産できるものではないので、値段がとても高いです。
記事を書いたのが2000年のため、現在は5割増しぐらいに高くなっています。
- 納期が遅い。オーダーメイドは、注文があってから作るので、納品が遅いです。日本でオーダーすると平均は3週間です。
どちらがいいという結論ですが
- 体型が標準サイズで、イベントで一度限りしか着ない、ありふれたチャイナドレスを欲しいと方→既成品
- 身長が高すぎたり、低すぎたり、サイズが偏っている、生地やデザインにこだわりがある方→オーダーメイド
オーダーするときの注意点
国内編
- 国内のどこでオーダーメイドできるかというと、横浜の中華街に2,3店あります。たぶんすべてのところが、注文があったものを中国の工場に作らせるので、結局海外生産ということになります。
2013年現在、横浜の中華街でオーダーメイドができるお店は1軒のみになっている可能性が高いです。
海外編
- 安く作るなら北京や上海がいいと思います。作るのに7日ぐらいかかるので期間が足りない方は日本まで送ってもらうことになりますが、先払いなのでサイズが合わなかった場合には面倒なことになってしまいます。もちろん言語上の伝達の問題で、トラブルが発生する可能性が高いです。
- オーダーメイドの特徴は生地は、一般にシルクしかありません。これはどうせオーダーで作るのなら、安っぽい化繊では作って欲しくないと思うからではないでしょうか?あまりいい生地がなくて、結局オーダーしなかったという話も聞きます。
- 生地が多いという点から考えると香港が多い(約300種)ですが、最近の円安のために、香港は世界一の物価高になってしまい、香港でオーダーするには、安めの店で4,5万円かかるので(中国では2万円)、安く仕立てたいという方は、どこかで生地を手に入れてから、上海などで作ってもらうほうがいいかもしれません。
2013年現在、安いという視点からはいまだに上海が世界一安いと思います。本当は上海よりも南通や蘇州などの方がもっと安いですが、それらの都市はあまり行く人がいないと思うので。
どのようなオーダーメイドをおススメするか?
もし映画のようなチャイナドレスを作りたいという場合、現在私がおススメするのは日本の生地屋で生地を購入し、持参の生地でオーダーを依頼する方式のオーダーメイドです。
日本でも大きな生地屋(東京ではオカダヤやユザワヤなど)に、コットンのリバティの売り場がありますが、リバティもいいと思いますし、イタリアシルクなどで作ってもいいと思います。
また当店でも、生地持込みのオーダーメイドに対応しております。 日本人女性が現地でチャイナドレスを作りたいという理由は日本国内だと採寸や仮縫いなどができないというのが理由だと思うので(もし採寸や仮縫い無のオーダーでいいという場合には当店のオーダーメイドと全く変わらない)、生地に関しては現地に行っても
- 香港なら別だと思いますが、中国大陸ではたぶんお客様好みの生地はなかなか無いです。ほとんど中国産しかありません。
- 仕立て代が2,3万円するのに、好みでない生地で作るのは馬鹿げていいます。
- 生地を探すのに時間がかかって日数が過ぎてしまう。
- 質のいい生地かどうかよく分からない。
- 日本で買えば、数十万種類の中から自分の好きな生地を探せる。
- 日本の生地屋は、素材、高級など、種類によってコーナーが分かれているので探しやすい。
ので、最初から日本で生地を買ってしまう方法も非常に効率がいいと思います。
既製品
買い間違えないために
どこで既成チャイナドレスを買ったらよいかというと
- 品質は重視せずに安いものが欲しい→ネット販売がいいと思います。
- サイズや生地の色などを見たい→店頭で買った方がいいと思います。試着できるしサイズ交換できるからです。またどこのサイズを基準として選べばよいかアドバイスしてもらえると思います。ネットで既成品を買うときには大体○号とかでは説明しないほうがいいと思います。というのはメーカーによって最大4cmぐらい各部分に違いがありますので、サイズ違いになる可能性が大きいです。
私の感じではネットで既製服を買う場合にはおそらく10人に2人がサイズを間違えてしまっているようです。ネットで既製品を買う場合には、ヌードサイズはB、W、Hでいくつ、身長はいくつなのですが、どのサイズでしょうかと店の方にご相談してください。
既成品の価格設定について
既製品の価格についてですが、一見同じように見える商品でもお店によって3000円と書いてあったり、1万円と書いてあったり、バラつきがあります。これはどういう理由なのでしょうか?
まずそのお店にとってチャイナドレスが多くの商品の一部でそれで利益を考えていない場合には、仕入れ値+500円ぐらいの価格設定をしているケースが多いと思います。例えばドンキホーテなど。ただそのようなケースでは、非常に安物が多く、通常はコお土産かスプレみたいな商品になります。
そのお店にとって、チャイナドレスは少ない商品群の1つであり、それで利益を考えている場合には、非常に高い価格設定がされています。仕入れ値の3倍ぐらいが普通です。よくあるのは、中国雑貨店や、上海灘のようなお店です。(日本から撤退してしまったので書いたのですが)。この場合、専門店なので安物でなく、本物の場合が多いですが、ただしコスプレと同等の商品を扱っているお店も多数存在します。どうせ安物を買うのなら、インターネットで安物を買った方がいいという見方もできます。
既成品を買うときのアドバイス
- まずウエストは考えないでください。直しで細くも太くもできます。(ただしどこで直せるか確認してください)。あとはサイズは小さく出来ますが大きくはできないことです。
- サイズの選び方ですが、バストが大きい方はバストでサイズを決めて、ヒップが大きすぎる場合には直してください。
- ヒップが大きい方は、ヒップで決めて、バストがぶかぶかになった場合、パットを入れたりしてください。
- 一般にはバストがピッタリという場合よりも4cm大きくても変ではないですが、ヒップは3cm大きくても変になります。
- ピッタリにいく場合のゆるみの値ですが、ヌードサイズプラスBは+5cm、W+4cm、H+3,4cmと考えてください。ただサイズのバランスというのもありますのでこればかりみてもうまく調整することはできません。
目的別の正しい買い方
安ければいいという方
一年前のユニクロブームのように最近の衣料品が大幅に安くなってしまって、実は世界で一番安く買えるのは、日本のスーパーといってもいいかもしれません。スーパーとは、「しまむら」のような店です。特にネット販売では、超安値で買うことが可能です。
横浜の中華街では、裏地ありの化繊は大体9800円です。ネットでは2000年当時は、一番安くて9800円だったのですが、今の相場は5000円とかになっています。
上海で一番安く買えるのは、たぶん豫園のたくさんあるお土産やですが、裏地ありの化繊で一番安くて3000円ぐらいだと思います。香港のお土産やでは5000円ぐらいです。
高くても品質がいいものが欲しいという方
既製品の場合には、上海や香港に行くと、高品質のチャイナドレスはまだ存在します。上海や香港のどこかというのはほかのコラムで紹介しています。日本では現実に既製品の高品質チャイナはほぼ存在しません。中華街のごく一部のお店においてあります。
オーダーメイドに関しては、現在日本では当店以外ほぼないと思いますが、中国では高級店のオーダーメイドというのは、標準で1400元(2万2000円)ぐらいです。一番高い店は10万円のところもありますが、そんなに品質がいいのか疑問がありますし、高すぎると思うので、1400元ぐらいでいいと思います。香港では、中芸などのお土産屋の2500香港ドル(約4万5千円)で十分だと思いますが、有名な上海灘という店もあります。
2013年現在、上で書いた料金よりも値上がりしていると思います。
ある程度品質がよくて比較的安いものが欲しいという方
こういう方はインターネットで買うのがいいかもしれません。 というのは、インターネットは完全な自由競争で、店舗代もいらないためにすごく安いというのが一般的だからです。もしあまりにも高いようだったら、オープン以来ほとんど売れないということで淘汰されてしまいます。
でもネットショップでも、大量買い付けで、値段のみ重視していて、品質は悪いというところもありますので、注意してください。
もし中国などに旅行に来る機会がありましたら、店頭でまず気に入ったものを探し(つるし)、そのあと店と交渉して、直してもらうといいです。サイズがぴったりになり、1日で直せるのでお勧めします。直し代は、普通3000円以下だと思いますが、どんなに直すところが多くても最大5000円も渡せば十分です。ウエストのみとか、数分でできる直しは普通無料です。
今回の正しいチャイナドレスの買い方とまとめると
- 既成品かオーダーメイドか自分のサイズまたは目的に向いたものを選択する。
- 既成品を買うときも、オーダーメイドをする時も自分のサイズをよく把握する。
- 万が一の場合に備えて直しやさんを探しておく。よくスーパーの一角にあるそうです。タウンページなどにも載っていると思います。
- 男性の方はオーダーメイドで買ってください。既成品は女性用ばかりです。
- 迷ったときにはネットでも店頭でも、自分がどういう物を望んでいるか具体的に伝えてください。
サイズに関しては
- 大きすぎるのは簡単に直せますが、小さすぎては直せません。
- ネットで買う場合には、大体○号ではなくて、具体的なサイズを店に教えてください。