下の記事は2015年1月7日にブログで書いた記事を整理して掲載しております。
生地屋の実情
前からチャイナドレスの生地が手に入らなくなるかもしれないと書いてきたのですが、これは生地屋の景気の悪さを見るとそう思ってしまいます。
チャイナドレスの生地というのは、たぶん現在作っている会社が2社ぐらいあり、各都市に問屋があるような状況です。もし大きな会社なら、生地メーカーから直接買うのですが、それは500m以上ぐらいの話になります。
私たちは問屋から買っているのですが、現在生地卸市場には問屋が5軒前後あります。問屋が抱えている構造的問題として、大きな会社はメーカーから直接買うので、小口の客が多くなり利益が上がらないのだそうです。たぶん1年後には2軒になっているのではないかと思っています。
1軒の生地問屋に聞いたのですが、毎年店舗のテナント料が高くなり、この年末隣に引っ越しをしました。1年間に現在25万元(500万円)ぐらいかかるそうで、隣は少し安く借りられるそうです。もし不動産で年間500万円もかかるとすれば、私が見たところ、年間300万円前後の赤字経営になっていると思われます。
本当のところは知りませんが、そんなにたくさん売れているようには見えませんので、どうやって経営が成り立っているのかは不思議です。
生地問屋の過去と現在
チャイナドレスの生地屋の最盛期は、2000年頃になります。当時の売上は、現在の3−5倍ぐらいあったと思われます。当時の中国は生地も人件費もすべてのものが安く、中国全土で大量生産が主流でした。売れる量というのも、一度に300mぐらい買っていく人がたくさんいました。
それが生地代が高くなったり中国国内の流行や諸事情で、売上が少なくても3分の1ぐらいになってしまいました。
また当時は不動産が安かったのでテナント代も現在の半額以下だったそうです。売り上げが3分の1で、賃貸料が2倍では撤退してしまいます。
日本でも多くの繊維業界は、売上は昔の3分の1ぐらいになっていますが。
ある生地屋のビジネスモデル
この記事は2016年4月12日にブログに掲載したものを再編集しました。
杭州の生地市場は大体300店ぐらいあるのですが、現在は3軒のチャイナドレスの生地屋があります。(今後も長く続けて欲しいと思っていますが)
先日生地を買いに行ったら、そのうち1軒のお店が半分の大きさに縮小していたので「家賃が高いから半分にしたのですか?」と聞いてみました。(経営者に聞いたのではなくて社員に聞いたのですが)
そうしたら、「ここは元々老板(社長)の不動産ですよ。隣も前のお店も老板のです。」と言っていました。そこのお店とはもう15年ぐらいの付き合いがあります。
その生地屋は以前から暇そうで、いったいどうやって生活しているのかと思っていたのですが、たぶん不動産の家賃で経営が成り立っていたのだと思います。
場所は杭州なのですが、どれぐらいの土地を持っているのかは分かりませんが、店舗は1か所15平米ぐらいなのかもしれません、全部で45平米あるとして、そのうち30平米を貸していて年に400ー500万円ぐらいの家賃収入があるのだと思います。
杭州の一等地の一階部分の店舗45平米の資産価値は、1平米5万元(杭州は場所によっては8万元ぐらいの可能性もあります)として、45×5万元=225万元(資産価値=約3600万円)。
問題は買った時は現在の5分の1ぐらいだったということです。本業では最近は全く儲かりませんが、トータルの話では儲かったという意識なので、続けられるのだと思います。
儲かっていないようなのでいつ撤退するか分からないと思っていたのですが、そのお店はこのようなカラクリで利益を上げているみたいでした。